夏から秋にかけてのゴルフでは、ラウンド中は晴れていても、帰り道に天候が急変することがあります。
山沿いや郊外にあるゴルフ場の周辺では、局地的な大雨や落雷に加え、アンダーパス、川沿いの道路、低い土地で短時間のうちに冠水が起こることもあります。
プレー後は疲れがたまり、早く帰りたい気持ちも強くなります。
しかし、冠水路では水深や路面の状態を車内から正確に判断できません。前の車が通過できたとしても、自分の車が同じように通れるとは限らないため、無理に進まないことが最も重要です。
| この記事の要点 道路に水がたまっていたら進入しない/アンダーパスや川沿いを避ける/浸水した車は再始動しない/脱出用ハンマーは運転席から手が届く場所へ/車両保険・ロードサービス・代車費用を事前に確認する |
冠水した道路には入らないことが大原則

道路の冠水を見つけたら、手前で止まり、引き返すか迂回してください。
「浅そう」「短い区間だから大丈夫」と見えても、濁った水の下に段差、側溝、陥没、流された物が隠れている可能性があります。
夜間や激しい雨の最中は、道路の端やセンターラインさえ見えにくくなります。
国土交通省は、水深が車の床面を超えると、電気装置の故障、エンジンやモーターの停止、ドアやパワーウインドウが動かなくなるおそれがあると注意喚起しています。
床面より浅くても、速度によって巻き上げた水が吸気口などから入る場合があるため、「何センチまでなら安全」という自己判断は禁物です。
なぜ冠水路は危険なのか
水深と路面の状態が分からない
冠水した道路では、わずかな距離でも急に深くなっていることがあります。
側溝や用水路との境目が見えず、脱輪や転落につながる危険もあります。冠水箇所へ入ってから危険に気づいたときには、すでに車が動かなくなっているケースもあります。
水位が短時間で上がる
アンダーパスや周囲より低い道路には雨水が集まりやすく、排水能力を超えると水位が急上昇します。入った時点では浅く見えても、途中で立ち往生すると脱出が難しくなります。
ゴルフ場周辺でよく通る山道、谷沿い、河川沿いも注意が必要です。
車が浮く・流される・動かなくなる
タイヤが水に沈むほど深くなると、車体が浮いたり、水流で横へ流されたりするおそれがあります。
エンジン車だけでなく、EVやハイブリッド車も、冠水路へ入ってよいわけではありません。駆動用バッテリーや電装系に浸水すれば、走行不能や故障につながります。
水圧でドアが開きにくくなる
車外の水位が高くなるほど、内側からドアを押し開けることが難しくなります。
JAFの検証では、水深60cmの条件でセダンの運転席ドアを開ける力が通常の約5倍必要になった例があります。数値を安全基準と考えるのではなく、ドアが開くうちに早く脱出することが大切です。
ゴルフ場を出る前に確認したい3つの情報
空が急に暗くなる、冷たい風が吹く、雷鳴が聞こえるといった変化があれば、すぐに出発せず、クラブハウスなど安全な場所で状況を確認しましょう。
運転を始めてからスマートフォンを操作するのではなく、出発前に確認するのが基本です。
雨雲と雷の動きを確認する
気象庁の「雨雲の動き」「雷ナウキャスト」で、帰路と通過予定時刻の雨・雷の見通しを確認します。
雷ナウキャストの活動度2以上は落雷の危険が迫っている状態とされているため、出発を遅らせる判断も必要です。
浸水・洪水・土砂災害の危険度を確認する
気象庁の「キキクル」で浸水害・洪水害・土砂災害の危険度を確認します。目的地だけでなく、途中の山間部や河川沿いも見ておきましょう。
道路規制と代替ルートを確認する
国土交通省の道路情報提供システム、NEXCO各社、JARTIC、自治体の道路情報で、通行止めや冠水情報を確認します。
カーナビが最短ルートを案内しても、低地やアンダーパスを通る場合は別ルートを選びます。
| ゴルフ場で待機する判断も安全対策 ゲリラ雷雨は短時間で状況が大きく変わります。クラブハウスが利用できる場合は、雨雲の通過や道路情報の更新を待つことも有効です。営業時間や施設の案内に従い、スタッフへ周辺道路の冠水情報を確認してみましょう。 |
道路が冠水していたときの注意点
冠水箇所の十分手前で止まる
急停止や無理なUターンは避け、後続車から見える安全な場所で停車します。現場の標識、警察、道路管理者の指示があれば必ず従ってください。
引き返す・迂回する・待つ
水深を確かめるために車を進めるのは危険です。前方車両が通れたかどうかも判断材料にせず、遠回りでも安全な経路へ変更します。
アンダーパス、川沿い、崖沿いを避ける
局地的な大雨では、冠水だけでなく河川の増水や土砂災害も起こり得ます。低い場所から離れ、高い場所を通る幹線道路や安全な駐車施設を選びます。
視界が悪ければ運転を中断する
ワイパーを最速にしても前が見えにくいほどの雨では、走り続けないことが大切です。道路外へ安全に退避できる駐車場やサービスエリアなどへ入り、雨が弱まるのを待ちます。
橋の下、アンダーパス内、川の近く、斜面の下、大きな木や看板の直下は避けます。
雷が激しいときは安全な場所で車内待機する
気象庁によると、オープンカーを除く自動車の内部は落雷に対して比較的安全な空間です。ただし、走行中は豪雨による視界不良や冠水、倒木、飛来物の危険があります。
安全な駐車場所へ移動して停車し、雷雨が遠ざかるのを待ちましょう。
車が動かなくなった・浸水し始めた場合の脱出手順

| 最優先は人命 車の修理や荷物の回収よりも、自分と同乗者の安全を優先してください。水位が低くドアや窓が使えるうちに行動します。 |
エンジンまたは走行システムを停止する
走行中に冠水して動けなくなったら、落ち着いて停止し、エンジンを切ります。EV・ハイブリッド車はREADY表示をオフにします。
シートベルトを外し、ドアから脱出する
水位が低くドアが開くうちに、同乗者へ声をかけて脱出します。小さな子どもや介助が必要な人がいる場合は、できるだけ早い段階で一緒に避難します。
ドアが開かなければ窓を開ける
電装系が動作するうちに窓を開け、窓から脱出します。窓より水面が低い段階で行動してください。
窓が開かなければ緊急脱出用ハンマーを使う
一般にフロントガラスは合わせガラスで、緊急脱出用ハンマーでは割れません。
サイドガラスまたはリアガラスのうち、取扱説明書などで割れることを確認した強化ガラスの端を狙います。一部車種ではサイドガラスも合わせガラスのため、事前確認が必要です。
脱出後は流れから離れ、高い場所へ移動する
車外へ出たら、進入してきた方向など安全を確認しながら、流れのある水、側溝、河川、崖から離れます。命の危険がある場合は119番、事故の場合は110番へ連絡します。
ドアも窓も開かず、ハンマーも使えない場合は、車内外の水位差が小さくなるとドアが開けやすくなることがあります。ただし、これは最後の手段です。水位が上がる前の早期脱出を最優先にしてください。
浸水した車は絶対に再始動しない
水が引いた後でも、自分でエンジンやハイブリッドシステムを始動しないでください。浸水した車は、電気系統のショートや車両火災を起こすおそれがあります。
EV・ハイブリッド車は高電圧システムを搭載しているため、むやみに触れず、ロードサービス、保険会社、自動車販売店へ相談します。
救援要請は、加入している自動車保険の事故受付・ロードサービスを優先し、必要に応じてJAF(#8139)へ連絡します。
道路の異状は道路緊急ダイヤル(#9910)、事故は警察(110番)へ連絡できます。通話や操作は必ず安全な場所で行ってください。
ゴルフへ行く車に用意しておきたいもの
| 備えておきたいもの | 選び方・置き場所のポイント |
|---|---|
| 緊急脱出用ハンマー+シートベルトカッター | 自車のガラスに対応する製品か確認。運転席からシートベルトをしたまま手が届く場所へ固定し、トランクには入れない。 |
| 防水ライト・ヘッドライト | 停電、夜間、トンネル内でも両手を使えるタイプが便利。予備電池も用意する。 |
| 反射ベスト・LED非常灯 | やむを得ず安全な場所で車外へ出る場合に自車の存在を知らせる。流れのある冠水路へ立ち入る用途には使わない。 |
| 脱出用ハンマーは「持っているだけ」では不十分 フロントガラスや合わせガラスは一般的な脱出用ハンマーで割れません。自車の取扱説明書でガラスの種類を確認し、どの窓を割るか、ハンマーをどこに固定するかを家族と共有しておきましょう。 |
チェックしておきたい自動車保険とロードサービス
台風、高潮、洪水などによる車の損害は、一般に車両保険の補償対象となります。ただし、自動車保険へ加入していても、車両保険を付けていなければ自分の車の水没損害は補償されないのが基本です。
契約タイプ、免責金額、特約、対象外となる事由は保険会社や商品で異なるため、保険証券や契約者ページで確認してください。
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 車両保険の有無・補償範囲 | 台風・洪水・高潮による水没や土砂災害が対象か。限定タイプでも水害を補償する商品はあるが、必ず自分の契約内容を確認する。 |
| 地震・噴火・津波の扱い | 通常の車両保険では、地震・噴火・これらによる津波の損害は一般に対象外。必要に応じて全損時一時金などの特約を確認する。 |
| 免責金額 | 修理時に自己負担する金額。全損時の扱いも含めて確認する。 |
| 車両保険金額・全損時の補償 | 水没では全損になることもある。現在の車両保険金額、新車特約・車両新価特約、全損時費用の有無を確認する。 |
| 等級への影響 | 洪水などで車両保険を使用すると、一般に翌年1等級ダウン・事故有係数適用期間1年となる例がある。修理額と翌年以降の保険料を保険会社へ確認する。 |
| ロードサービス | レッカー搬送距離、搬送先の指定、宿泊・帰宅・移動費用、現場が冠水中で作業できない場合の扱いを確認する。 |
| 代車・レンタカー費用 | 修理期間中の1日あたり限度額、利用可能日数、事故・故障のどちらが対象かを確認する。 |
| 車内手荷物の補償 | ゴルフクラブやゴルフバッグは車両保険だけでは自動的に補償されない場合がある。車内手荷物特約、携行品補償、上限額・免責・対象事故を確認する。 |
| 連絡方法 | 事故受付の電話番号、アプリ、ウェブ受付をスマートフォンへ登録。保険証券番号がすぐ分かるようにする。 |
なお、洪水による車両保険の支払い可否や等級への影響は、事故状況と契約内容によって判断されます。冠水路へ進入した状況を含め、まずは保険会社へ事実をそのまま伝えて相談してください。
きちんと「補償」を見直しませんか?
今の契約で水害に備えられているか分からない、必要な補償を付けると保険料がどの程度変わるか知りたい――そんなときは、複数社の見積もりを同じ条件で比較してみましょう。
保険料の安さだけでなく、車両保険の水害補償、免責金額、ロードサービス、代車費用、車内手荷物の補償まで含めて確認することが大切です。
インズウェブは、SBIグループの保険比較サイトです。自動車保険一括見積もりでは、条件に応じて参加保険会社(最大20社)へ無料で見積もりを依頼できます。
複数社を一度に比較することで、現在の契約に足りない補償や、補償内容と保険料のバランスを見直すきっかけになります。
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※見積もり可能な保険会社数は、入力した条件などによって異なります。見積結果では保険料だけでなく、補償範囲、免責金額、特約、ロードサービスを確認し、契約前に各保険会社の重要事項説明書・約款をご確認ください。インズウェブを運営するSBIホールディングス株式会社は、保険会社または保険代理店ではありません。
車やゴルフ用品が被害を受けた後に行うこと
- 安全を確保し、けが人や生命の危険があれば119番、事故であれば110番へ連絡する。
- 水が引いても車を再始動せず、保険会社またはロードサービスへ連絡する。
- 安全な位置から、車の浸水状況、周囲の水位、道路状況、損傷箇所を写真や動画で記録する。
- レッカー、宿泊、交通、レンタカーなどの領収書を保管する。
- ゴルフクラブやバッグなど車内手荷物の被害も一覧にし、補償対象か確認する。
- 自己判断で清掃・修理・廃車を進める前に、保険会社や販売店の指示を確認する。
よくある質問
SUVや車高の高い車なら冠水路を走れますか?
SUVでも冠水路への進入は避けてください。車高だけで吸気口、電装品、駆動用バッテリーの位置や水流への強さは判断できません。
水深や路面が見えない以上、車種にかかわらず引き返すのが基本です。
水深が何cmまでなら安全ですか?
一般ドライバーが現場で安全な水深を見極めることはできません。同じ水深でも速度、車種、水流、段差によって危険性は変わります。
道路に水がたまって路面が見えない時点で進入しないようにしましょう。
EVやハイブリッド車は冠水に強いですか?
冠水路へ入ってよいわけではありません。JAFの実験でも、EV・ハイブリッド車を含む各車で浸水や部品の損傷、停止の危険が示されています。
浸水後は高電圧システムに配慮し、車両へむやみに触れず専門業者へ連絡してください。
雷が鳴っているとき、車内にいても大丈夫ですか?
オープンカーを除く自動車の内部は、落雷に対して比較的安全とされています。ただし、冠水や倒木の危険がある場所へ停車してはいけません。
屋内駐車場、サービスエリア、道の駅など、周囲の安全を確保できる場所で待機しましょう。
水没した車のエンジンがかかりそうでも始動してはいけませんか?
始動しないでください。電気系統のショートや車両火災、エンジン損傷につながるおそれがあります。
ロードサービス、保険会社、販売店へ連絡し、点検と搬送を依頼します。
車内のゴルフクラブも車両保険で補償されますか?
車両保険は基本的に車自体の損害を補償するもので、ゴルフクラブやバッグが自動的に含まれるとは限りません。
車内手荷物特約や携行品補償で対象になる商品もあるため、補償される事故、限度額、免責金額、対象外の品目を確認してください。
まとめ|早く帰るより、安全に帰る

ゴルフ場からの帰り道でゲリラ雷雨や道路冠水に遭遇したら、最も大切なのは「無理に進まない」ことです。冠水路には入らず、引き返す、迂回する、安全な場所で待つという判断を優先しましょう。
万が一、車が浸水し始めた場合は、ドアや窓が使えるうちに早く脱出し、浸水後の車を再始動しないでください。
脱出用ハンマーやモバイルバッテリーなどを車載し、自動車保険の車両補償、ロードサービス、代車費用、ゴルフ用品の補償まで確認しておけば、夏のゴルフ帰りの安心につながります。
| 最後に確認 出発前に雨雲・雷・道路情報を見る/冠水路には入らない/脱出用ハンマーの対応ガラスと置き場所を確認する/保険会社とロードサービスの連絡先を登録する |
※本記事は一般的な安全情報と保険の確認ポイントをまとめたものです。災害時は警察、消防、道路管理者、自治体、保険会社、車両メーカーなどの最新情報と指示に従ってください。自動車保険の補償内容、免責金額、等級への影響、ロードサービスの提供条件は、保険会社・商品・契約時期・事故状況によって異なります。
主な確認資料(2026年8月20日確認)
- 国土交通省|水深が床面を超えたら、もう危険!
- JAF|自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?
- JAF|台風・大雨時のクルマに関する注意点
- 気象庁|キキクル(危険度分布)
- 気象庁|雷ナウキャストの見方
- 気象庁|雷から身を守るには
- 国土交通省|道路情報提供システム
- 日本損害保険協会|大雨で床上浸水に!保険で補償されるの?
- ソニー損保|洪水で車が水没した場合の車両保険
- 三井住友海上|車内手荷物等特約
- 日本自動車工業会|浸水・冠水被害を受けた車両の注意
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